学校で子どもたちの健康を守る場所といえば、保健室。
体調不良や怪我などでお世話になった方も多いのではないでしょうか?
カンボジアではまだまだ「保健室」のある学校が限られる中、教育省は2025年に保健科目の授業を導入するのを契機として、全校への保健室の設置も目指しています。
FIDRは、モデル校* 4校において、保健室の設置を支援することにしました。大切にしたのは、傷病の応急処置を行うだけの場所ではなく、「生徒や地域の住民が、保健や栄養について学べる場所にする」ということです。よって名称も「保健教室」と呼ぶことにしました。
モデル校4校には、各学校の状況にあわせて「保健教室」を設けました。空き教室を活用した学校もあれば、図書室の一角を区切って利用する学校もあります。
FIDRは各校に、ベッドやマットレス、応急処置用品、それらを保管する戸棚などの備品を配備しました。このほか、教育省学校保健局と地域の保健センターから講師を迎え、保健教室の担当教員へ、応急手当や医療機関に搬送する目安などについての研修も2回実施しました。
また、3校にはスマートテレビ(インターネットにつながるテレビ)を設置しました。写真や動画を交えながら、子どもたちに、正しい歯磨きの方法や、感染症の予防知識をはじめとした健康に関する知識を提供します。
各校では、保健教室の開設による効果が早速表れています。
子どもたちは、怪我の応急処置を受けたり、体調不良時に休んだりできるようになりました。これまでは体調不良でも我慢していた子どもが、保健教室に足を運ぶようになった、という変化がみられています。
子どもからは「学校で頭やお腹が痛くなっても、保健教室で休んでから、授業に戻れるようになりました。保健教室ができて、とても嬉しい」という声も聞かれています。
ケアの場所ができ、先生が知識を得たことで、子どもたちが安心して学校で過ごせるようになりました。
また、「教室」としての活用も始まっています。
保健教室を図書室の一角に設けた学校では、子どもたちが図書室に来た機会を利用して、先生がテレビに写真などを映しながら、健康、怪我や病気につながる行動、応急処置などについて説明しています。
校長先生は、「以前より多くの子どもたちが図書室に足を運ぶようになりました。子どもたちは、テレビで視覚的に学ぶことを楽しんでいます」と言います。
「健康が守られる環境が整うこと」、また、「健康を守る知識を得て実践していくこと」は、栄養教育の効果につながります。FIDRは引き続き、保健衛生の観点も含めて、モデル校での活動を進めていきます。
*全国の学校に先駆けて栄養を含む保健の授業を導入し、学校保健活動を実践する、コンポンチャム州の4校(小学校2校、中・高等学校2校)。
カンボジアでは、2025年から学校教育に保健科目が導入され、その一部として栄養教育が始まる予定です。FIDRは、2019年からカンボジア教育省とともに、栄養の教科書づくりに取り組んできました。
今年度、小学 1 年生から高校 3 年生までの教科書原稿がようやく完成しました。
教科書づくりは決して簡単ではなく、その過程で様々な課題にぶつかりました。
まず、教育省の職員が栄養について学んだ経験がなく、栄養についての基本的な理解も曖昧でした。
また、日本語の専門用語に対応するクメール語(カンボジア語)の言葉がなかったり、同じ言葉に対する日本人とカンボジア人との解釈が違ったりしました。
さらに、年齢に適した教科書とはどのようなものか、職員にはイメージがありませんでした。そのため、例えば小学1年生向けの教科書なのに、最初は挿絵がほとんどなく文字だらけの原稿になってしまいました。
これらの課題に対処するため、FIDRは、様々な工夫を凝らしました。
第一に、「五大栄養素とは?」など「栄養の基礎講座」を教育省の職員向けに実施しました。
説明は極力シンプルにし、実験や視覚教材を取り入れた講座を繰り返し行い、言語や解釈の違いにぶつかるたびに1つ1つ説明し、解決しながら進めていきました。
そのうち、「もっと詳しく知りたい」「他のことも教えて欲しい」という声が上がるようになり、講座で得た知識を自分の食生活に取り入れる職員もでてきました。
第二に、教科書の執筆方法です。
このような講座を経て栄養の知識を得た教育省の職員が、教科書に載せたいと思った内容を選んでまとめ、それをFIDRスタッフと一緒に確認しながら加筆修正するという方法で、進めました。
第三に、テスト授業を経ての改善です。
最初の教科書の試案が完成すると、それを使って学校の先生にテスト授業を行ってもらい、子どもたちの反応や先生のフィードバックを取り入れながら改善を加えていきました。教科書の中身は、先生が使いやすく、また子どもたちが興味を持って楽しく学べるよう、できるだけ写真を沢山使うように工夫しました。
教科書原稿は現在、教育省で最終確認が行われており、教育大臣の承認を得て印刷される予定です。はれて完成した教科書を学校で子どもたちが手にする日が、今から待ち遠しいです。
カンボジアでは、ゴミの問題が深刻化しています。そもそも、ゴミの焼却施設がなく、廃棄物埋立地もほぼ満杯だといわれています。ゴミを分別する習慣も徹底されておらず、適当に廃棄する人も多いのが現状です。学校でも、ゴミ箱が設置されているにもかかわらず、校庭にゴミが散乱している様子が珍しくありません。
コンポンチャム州にある当プロジェクトのモデル校でも、これまでゴミの分別がされておらず、様々な種類のゴミを敷地内にあるコンクリート製の大きな「ゴミ置き場」に全て集めて一緒に燃やすという方法でゴミが処理されてきました。また、校内でゴミが燃やされることで発生する煙や有害物質による、生徒の健康への影響が懸念されています。
FIDRはこの栄養教育普及プロジェクトで、健康的な生活のためには衛生的な環境も不可欠であることを伝え、学校のゴミ処理の方法を改善するよう学校に働きかけてきました。食事内容やゴミの捨て方など、健康にかかわる子どもの習慣や行動は、子どもを取り巻く親や先生などの大人、また、友達に大きな影響を受けています。逆もしかりで、子どもたちの行動が、友達やその家族へ広がっていくこともあります。そこで、FIDRはモデル校で、子どもたちが主体的に学校のゴミ問題を改善すべく、この問題に一緒に取り組む学生を募集することにしました。
2つの高校で「ゴミ問題の改善に一緒に取り組もう!」と呼びかけたところ、各学校から20名近くの応募があり、その中から約10名が学生グループに選抜されました。
6月には、各学校の学生グループとFIDRスタッフが、キックオフミーティングを行いました。ゲームを通じて交流したほか、ゴミと環境汚染問題について動画で理解を深めたり、話し合ったりしました。国内のゴミの現状について、初めて知ることも多くあったようで、動画を見た後には「ゴミによる環境汚染はとても残念だ」「プラスチックの使用を減らし、学校の環境をきれいにするために、それぞれ水筒やお弁当箱などを持ってくるべき」など、様々な意見が交わされました。
今後、学生グループが学校の衛生環境を改善するためのアクションを起こしてしていけるよう、FIDRは引き続きサポートしていきます。
FIDRはカンボジア教育省とともに、2025年度から始まる栄養教育の教科書制作に取り組んでいます。2019年から少しずつ進めてきた小・中・高12学年分の執筆活動も、残すところあと4学年分となりました。
実は、執筆を担当している教育省の職員の大半は、学校で教えた経験がありません。従って、現場の実態を踏まえた教科書にするためには、教員らの意見を聞くことも重要な制作過程の一部です。今回は完成した最初の教科書の試案をもとに、FIDRが活動するモデル小学校の3年生と6年生で、先生たちに「テスト授業」をしてもらい、意見交換を行いました。
まずは、執筆担当者たちが教科書の内容やコンセプトを先生たちに解説し、理解してもらいました。その後、児童にも理解できるように文章が書かれているか、挿絵が適切かどうかなどを一緒に確認しました。
後日、先生は実際に児童に対して授業を行い、児童の反応も含め様々な意見を出してくれました。「今回は時間内に終えるのが難しかったが、もっと研修を受けて慣れればできると思う」「掲載の写真が分かりづらかった」「教員用の指導書に、もう少し情報を記載してほしい」「補助教材を使用するのが難しかった」などの意見が挙げられました。
今後は、これらの意見も踏まえて試案を改善し、先生たちが使いやすく、子どもたちが楽しく栄養を学べる教科書に仕上げていきます。
FIDRはカンボジア全国で栄養の授業を開始するためのモデルとなる4つの学校をコンポンチャム州内に定め、教員研修や環境の改善を進めています。しかし新型コロナウイルスの感染拡大で、今年3月から全国の学校は休校になりました。9月下旬から学校は徐々に再開されましたが、学校が閉鎖中の間も、各校において、校長先生がリーダーシップを発揮して様々な取り組みを進めていました。
モデル校の一つであるラヴィエテ小学校では、校長先生が地域の住民やお寺の協力を募り、新しい校舎の建設を始めました。学校が再開して子どもたちが戻ってきた時に、楽しく勉強できるよう、机も色鮮やかに塗装しました。また、これまではあらゆるゴミを一緒にして焼却していましたが、缶やペットボトルを分別できる回収ボックスも設置しました。
他の学校でも、校長先生たちは今できることを考えて、それぞれの取り組みを行っています。FIDRがプロジェクトで実施してきた日本式「5Sカイゼン」の研修や、他校視察研修の効果が表れているようです。FIDRスタッフは、次に学校を訪問できる日を楽しみにしています。
カンボジアでは近年、砂糖の過剰摂取が問題視されています。肥満や虫歯などを予防する取り組みの一つとして、教育省は一昨年、全学校に対して売店の食品に関する取り締まり指示を出し、エナジードリンクやジュースなど、砂糖を多く含む飲料の販売を禁止しました。しかし、実際には指示に反して販売している売店や、学校のすぐ近くにある商店では簡単に買うことができてしまいます。そこで、なぜそのような飲料を飲みすぎると体に良くないのか、どれだけの砂糖が入っているのかを生徒や売店の方々に知ってもらうために、FIDRは今回実験ビデオを制作しました。
清涼飲料水の多くに砂糖が含まれることはよく知られていますが、食品ラベルを見るだけで実際にどれくらいの量の砂糖が入っているかを理解することは容易ではありません。実験では、コンロの上に置いた小さな鍋に清涼飲料水を注ぎ、水分がすべて蒸発するまで加熱しました。その後、鍋に残った砂糖を計量器で測り、様々な清涼飲料水に含まれる砂糖の量を比較しました。
実験の結果、清涼飲料水には多くの砂糖が含まれていることが目に見えて明らかになりました。特に、エナジードリンクを蒸発させたものは、着色料によって色が濃く変化し、強烈な匂いを発していました。
実験現場にいたFIDRカンボジア事務所のスタッフも実験結果に驚いた様子で、
「私はエナジードリンクが好きで、毎日少なくとも2缶飲んでいます。しかし、今回実験を見て、驚きました。今後は、飲みすぎないようにし、エナジードリンクが大好きな兄にもこの情報を伝えたいと思います。」と感想が寄せられました。
今回制作されたこのビデオは、栄養教育活動やSNSで発信されるとともに、教師や保護者、学校の売店の方など、幅広い層に見てもらう予定です。FIDRはカンボジアの多くの人々がこのビデオを視聴し、健康によい食生活を選ぶきっかけになることを願っています。
カンボジアでは、2025年に全国の公立小学校・中学校・高校で、栄養教育を組み入れるにあたり、カリキュラム構築や教科書の執筆を担う人材の能力強化、教員の栄養に関する指導技能の育成が急務になっています。
FIDRは、教師の指導技能向上の一環として、カンボジアの現地NGOのメディア・ワンと協働し、昨年度よりカンボジア版食生活指針についての指導者向けのビデオ作成を進めてきました。
完成したビデオは計6本で、テーマは@カンボジアの子どもの栄養状況とその背景、Aフードピラミッドと食品グループ、B食生活指針の7つのメッセージ、Cエネルギーとは何か、D1日に必要なエネルギー量と食事の量、E授業で使える教材の作り方、となっています。昨年9月に完成し、今年1月にカンボジアの教育省により正式に認可されました。
これらのビデオは、教員への研修時に使用するほか、ワークショップなど様々な場で活用される予定です。
完成したビデオは、カンボジア教育省の公式Facebookページに掲載されています。
▸ 動画の視聴はコチラから:https://www.facebook.com/watch/?v=476494973526067
11月25日、コンポンチャム州において、第7回カンボジア「栄養の日」イベントが開催され、カンボジア事務所からは、栄養教育普及プロジェクト及びコンポンチュナン州農村開発プロジェクトのスタッフが参加しました。
このイベントは、2014年よりカンボジア政府に属する農業・農村開発評議会が中心となって始まったもので、今年のテーマは「Strengthening Food Systems for Healthy Diets(和訳:健康的な食生活のためのフードシステムの強化)」です 。近年、カンボジアにおいては、国民の健康的な食生活のためには、農作物の生産から流通、加工など、様々な取り組みを通じて、食料の確保と栄養バランスがとれた食事の選択を可能とすることが重要だという認識が広まりつつあります。政府や援助機関の代表者は食料保障と栄養改善のために、農業、保健、教育、衛生、社会保障など多くのセクターが一丸となって取り組むべきだと強調しました。
イベントには、副首相を始め、政府、州の行政機関、栄養改善運動を行うネットワーク(SUN-CSA)のメンバー団体、NGO、学生等、計600名が参加しました。式典会場では、栄養に関する取り組みを行っている国際機関やNGO、企業等がブースを出展しました。FIDRのブースでは、栄養教育普及プロジェクトの職員が中心となり、来場者に食生活指針に関する教材の紹介・配布を行いました。
また、今年は、FIDRが栄養教育を進めているコンポンチャム州の対象校4校からも校長と教員計19名がイベントに参加しました。これまでほとんど栄養をテーマにする国のイベントに参加したことがなかった先生たちは、イベントを通して栄養に関する関心が高まったようでした。「栄養改善は、多くのセクターが関わっている重要な課題であることがわかりました」、「今学校で進めている菜園づくりや栄養教育は大切であると改めて認識しました。現在の取り組みは、子どもの栄養状態が改善され、学校、コミュニティの発展にも貢献できるだけでなく、国の戦略にも一致することがわかりました」といった声が聞かれました。
カンボジアでは、2025年に全国の公立小学校・中学校・高校で正規教科として導入される保健科目に、栄養分野を組み入れることになりました。FIDRは、栄養教育の開始に向けて、国の体制づくりと実践の場である学校環境整備に取り組んでいます。
栄養教育を始めるには、教科書執筆、シラバスや学習指導要領づくり、教員養成等、国の実施体制を整えることが必要です。これらを一挙に担うのは教育省学校保健局ですが、栄養に関する専門知識を持つ人材、マンパワーが不足しています。そのため、FIDRは現在、同局の職員に向けて栄養教育の研修を行うとともに、同局と共に、教科書や教員用の指導書の作成を進めています。
当プロジェクトの専門家として活動する甲斐栄養士は、カンボジアの教育現場での取り組みについて「カンボジアの学校では、先生が一方的に話すスタイルの授業が主流です。教科書の内容を復唱したり、ノートに複写したりすることが中心で、教科書以外の教材を使うことも滅多にありません。そこで、私たちは、もっと子どもたちが楽しみながら学ぶことができるように、ゲームや遊びの要素を取り入れた参加型の授業を実践できるように取り組んでいます。また、これまで自身が教科書を使った授業しか受けてこなかったという先生方にも、簡単に作れる補助教材の作り方などを紹介しています。」と話しています。
他方、栄養教育の実践の場である学校では、モデル校作りに取り組んでいます。作成した栄養教材を子どもたちに試行するために学校を訪れる中で、手洗い場が壊れて使えないなど、衛生環境が整っていない現状がわかりました。これでは感染症にかかるリスクも高く、必要な栄養素を摂取できるようになっても、栄養改善につながりません。そこで、コンポンチャム州にある4つの学校にて、栄養教育が開始される際に他校のモデルとなるよう環境整備を進めています。
モデル校づくりにおいて、一番の要になってくるのが、校長のリーダーシップです。カンボジアには、現職教員や学校管理職に対する研修のシステムがありません。そのため、FIDRは校長に対するサポートも行っています。昨年は、他の州で優れた学校づくりを行っている校長を訪問し、様々な取り組み事例を学びました。現在では、他校での取り組みに触発された校長が、地域の人やお寺などからも協力を得て、学校の手洗い場を設置するなど、出来るところから少しずつ環境改善を始めています。
2025年に全国で栄養についての授業が実施される際のモデル校となることを目指し、今年度から、コンポンチャム州の4つの小・中高校で栄養教育を始めていきます。これに先立ち昨年度は、3校で様々な研修を行いました。栄養教育の実現には、校長の理解とリーダーシップが欠かせません。また、子どもやその家族の健康改善につなげるには、地域の人々との連携も大切です。そこで12月には、3校の校長と教員計16名が、シェムリアップ州の2つの小学校を視察しました。両校は校長が優れたリーダーシップを発揮していることで有名です。
1校目は、6千人以上の児童が通い、過去にJICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を受けた学校。日
本の小学校もお手本にしており、靴箱に整然と並べられた運動靴や、児童が当番制で掃除し清潔に保た
れたトイレなどを見て、視察した先生方はとても驚いていました。
2校目は、全国で3つしかない全日制の学校の一つ。全国的にも珍しく、昼食として給食を提供していま
す※。校長は、給食運営にあたり国際機関の支援を受けつつも、保護者からは給食費を、地域の人々か
らは食材等の提供を得ることに成功しています。また、菜園づくりなどの取り組みを積極的に行ってい
ました。
「 彼らができるなら、自分たちにもできるはず!」と感じた視察した先生方。視察後、今後どのような取り組みをしていくかを話し合い、少しずつ変化が見え始めています。
FIDRは、「栄養学」が存在しなかったカンボジアにおいて、栄養改善のための事業を10年以上実施してきました。栄養バランスに配慮された病院給食システムの確立、学童のための食事摂取基準の策定、2025年に学校で始まる保健教育のうち栄養分野の教科書の執筆などです。
そしてこの度、カンボジア国内で、栄養改善運動を行うネットワーク(SUN-CSA)の執行委員5団体の1つに選ばれました。
「SUN(=Scaling Up Nutrition) Movement」とは、栄養改善のための政治的コミットメントとアカウンタビリティを強化していく運動で、2010年国際連合の主導で始まり、2020年3月現在61か国が参加しています。また、加盟国に加えて、ドナー(SUNの活動資金を拠出している国や企業等)、国連機関、市民社会、民間企業が参加し、日本政府は設立のための拠出金を支援しています。
カンボジアは2014年6月にSUNに加盟し、政府機関としては農業・農村開発評議会(CARD:Council for Agricultural and Rural Development)が他の省庁に呼び掛けてSUNの活動を推進しています。
SUNには、様々なネットワークがあります。
例えば、企業等が投資やビジネスを通して栄養改善に取り組む「ビジネスネットワーク」、多様な分野で活動するNGO等が各活動を通して栄養改善に取り組む「市民社会ネットワーク」、そして、ドナーがより良い資金調達、政策、進捗と影響の監視などに取り組む「ドナーネットワーク」などです。
FIDRは、カンボジア国内の市民社会ネットワークである、SUN-CSA(Civil Society Alliance:市民社会連合)に、2017年5月に加盟しました。42のNGOがメンバーとなっており、それぞれの団体が、栄養改善や母子保健、食糧安全保障、また衛生習慣普及活動などに関わる活動をしています。
カンボジアにおいては、現在、SUN-CSAが中心となって国内の加盟団体間の情報共有や、政府・一般市民に向けた情報発信、政府や企業間の連携活動などを実施しています。これに加えて、国連機関(FAO, WFP, WHO, UNICEFなど)が、カンボジア政府やSUN-CSAと強いつながりを持っています。
SUN-CSAの具体的な活動としては、
@政府や国連関係者との定期的なミーティングや集会による各団体の活動の事例報告や発表
A2年に1度、加盟団体のプロジェクト詳細をまとめた冊子の発行
B研修情報や各団体からのお知らせの共有
C大学生や若者対象のイベントの実施
Dカンボジア栄養の日の企画と実施
E国の政策の策定協議への参加
などがあります。
FIDRは、@の場で食事摂取基準の紹介、Bの研修にFIDRのスタッフが参加、2017年からはDに毎年参加、Eにもほぼ毎回参加しています。
今回、FIDRがSUN-CSAの執行委員に選ばれたのは、SUN-CSAの活動に積極的に参加しており、他団体から推薦されたからですが、カンボジアにおいて、FIDRの活動が多くの人に認知され、栄養に関して活発に活動している団体と認識されるようになったということの証左に他なりません。
今後FIDRは、さらに他団体や政府機関との連携を強め、多様なアクターと協力しながら、事業活動を広げていきたいと考えています。
1月31日、郡山女子大学食物栄養学科の岡部聡子准教授ほか、福島医科大学研究員の方々がプノンペンの国立小児病院を訪問され、FIDRの職員や栄養科のダネー医師らからFIDRの取り組みについてご紹介しました。訪問を終えて、岡部准教授より以下の感想をいただきました。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今回、知人の紹介でFIDRと巡り合い貴重なお話を伺うことができました。1996年にカンボジアにてFIDRの活動が開始され、小児外科のドクターと看護師を育成し、20年が経過した今、教育を受けた人がプノンペンにて教鞭をとる人材にまで成長していること、そして、支援から始まった病院給食では、今では100%現地の病院の運営で8種の食事箋に対応した食事を365日3食提供されていること。教育というソフト面の強化は時間と手間がかかり、かつ、伝えてと受けての双方に情熱がないと実現が難しいとされます。何とも息の長い、そして温かみのある援助であることに感銘を受けました。特に、小児病院を訪れた際のFIDRカンボジアスタッフと小児病院の栄養科スタッフの信頼に満ちた関係を目の当たりにして、心が温まる思いでした。同じ日本人として、彼女たちを誇りに思います。学齢期の子どもたちの食事摂取基準と食生活指針が完成し、現在、それをもとに学校で使用する保健教育の教科書開発にも技術支援していると伺いました。今後は食生活指針をベースにした栄養教育の普及に重点を置いて活動されるとのこと、今後の活躍を期待しております。
郡山女子大学食物栄養学科 准教授 岡部聡子
12月28日、当プロジェクトのスタッフと、カンボジア教育・青年・スポーツ省のソカ氏が、プノンペンから車で3時間ほどの距離にあるスヴァイリエン州のスヴァイリエン大学で、「栄養と教育」をテーマにした学生向けのワークショップに登壇しました。
現在、カンボジアの大学では、栄養の学科課程はなく、基礎から学べる教育機関もほとんど存在していません。そんな中、なぜこのワークショップが開催されることになったかというと、昨年10月に日本を視察した教育・青年・スポーツ省学校保健局のソカ氏が、栄養教育の大切さや日本で学んだことを広めたい、という希望からでした。栄養をテーマに自ら学生に話をしたい、と大学の方に提案、相談し、実現に至りました。そして、実際に大学で栄養学を学んだ人にも話をしてほしい、ということで、FIDRの甲斐専門家も登壇することになったのです。
当日、まずは甲斐専門家より、「栄養学とはどういうものか」「どんな勉強をするのか」を皮切りに、栄養士・管理栄養士の職場や仕事内容、将来の可能性など、日本や他国の事例を挙げて紹介しました。その後、ソカ氏が、現在のカンボジアの状況を説明しつつ、今後の保健や栄養教育の重要性と共に「学齢期の子どもの食生活指針」を紹介しました。また、日本の小学校で見学した「朝食の大切さ」の授業をもとに、学生と一緒に、それぞれの朝食を見直すアクティビティを実施し、とても和気あいあいとした雰囲気のワークショップとなりました。
参加した学生は大学2〜4年生と幅広く、専攻も様々でしたが、皆、熱心に話を聞いてくれて、反応も上々。そして、さすがは大学生、しっかりと英語で質問できる学生も多く、予定時間を超過しても、たくさんの質問が続きました。特に、農学部の学生は、野菜の栄養(どの野菜にどんな栄養素が多いかなど)や調理法(調理と栄養素の関係)のことなどへの関心が高く、近い将来、また話をしに来てほしいという要望も受けました。
今回のようなテーマでのワークショップは、スヴァイリエン大学でも初めてで、参加した大学関係者や学生にとって、初めて知り、考える内容も多かったようです。特に、栄養士や管理栄養士などという職種が存在しないカンボジアでは、栄養学を学ぶとどういう仕事ができるのか、などは想像もしなかったようです。
私たちが作成した食生活指針は、主に学齢期の子どもに向けたものですが、これから親世代となっていく大学生に知ってもらうことは大変重要です。これからの日常生活の中で、また、将来子どもを持った時に、このワークショップのことを思い出し、栄養のことや自らの食事のことを考えてくれることを願って話をしました。また、これをきっかけに、少しでも栄養に興味を持つ学生、将来もっと栄養学を勉強したいと願う若者が増えると良いなと思いました。
10月16日から22日まで、カンボジア教育・青年・スポーツ省学校保健局の幹部職員3名が日本を視察訪問し、栄養教育の仕組みや食育の実際、教員養成制度などについて知見を深めました。カンボジアでは、2021年から公立の小中高等学校の正規教科となる保健科目に、栄養分野を組み入れることとなりました。しかし、教員は栄養についての知識も指導経験も備えていません。そこでFIDRは、教員養成に携わる同省の職員が、栄養教育の内容や指導人材の育成について先進事例を学ぶ機会として、視察を実施しました。
視察者の方々は、東京都内の2つの小学校を訪問、食育の授業を見学し、教材や授業計画作りについて栄養教諭から説明を受けたほか、児童とともに給食を試食しました。食育の授業は家庭科や給食の時間などを活用して担任と連携して行っていること、教材は工夫を凝らして手作りしていることなどが印象に残ったようです。
和洋女子大学では、栄養士や家庭科教諭などの養成課程について説明を受け、「100食調理実習」を見学しました。カンボジアでは、実技を学ぶのは職業訓練学校のような施設に限られることから、視察者の方々は、大学での実践的な授業内容に感心していました。実習後の試食では、栄養バランスだけでなく、彩りや見た目なども考えて食事が作られていることに驚いていました。
このほか、日本の学校給食や食育の制度や、現職教員への定期的な研修の仕組みについても学びました。
7月6〜8日、香港で開催されたアジア栄養士会議にFIDRスタッフが参加し、昨年完成した「カンボジアにおける学齢期の子どものための食生活指針」について発表しました。
この会議は4年に一度開催され、アジア栄養士連盟に加盟している12か国(日本、台湾、香港、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、パキスタン、シンガポール、タイ、オーストラリア)の栄養士や管理栄養士、研究者などが、様々な研究発表や事例報告を行っています。
FIDRの発表を聴いた方々からは、カンボジアの現状や、子どもたちの栄養摂取状況についての質問がいくつも寄せられました。また、カンボジアに栄養士がいないことや、学校給食などがないことを初めて知り、驚いていた方もいました。
現在、栄養士会がないカンボジアは、アジア栄養士連盟に加盟しておらず、カンボジアからの参加者やカンボジアでの栄養に関する活動報告も限られています。そのため、今回の発表は、他国の栄養士や栄養学研究者にカンボジアの現状を伝える貴重な機会となりました。
さらに、この会議には、FIDRが支援する国立小児病院栄養科から医師2名も参加しました。
医師たちは、臨床栄養の分野におけるテーマ発表を数多く聴講しましたが、どれも興味深い内容ばかりで学びが多かったようです。しかし、これまで栄養学(特に臨床栄養学)を学んだ経験がないため、専門用語など理解するのが難しく、自らの知識や経験が十分でないと改めて感じたといいます。
それでも会議の終了後、彼女たちは、「カンボジアは、他国に比べたらとても遅れているけれど、誰かが始めないと何も実現しない。私たちの世代が何かを始めないといけない」と話していました。医師たちの中で、「カンボジアでも、栄養学や栄養士制度の設立に繋がる土台を創っていきたい」という思いが増したようです。彼女たちの今後の活躍に期待したいです。
4月24日、カンボジア北部プレアヴィヒア州のコム・トメイ小学校で開かれた「料理コンテスト」の機会に、「学齢期の子どもたちのための食生活指針」の普及活動を行いました。
コンテストは、カンボジア教育省保健課とWFP(国連世界食料計画)が共催したもので、WFPが給食支援を行う学校のボランティア調理員、学校長、州や郡の教育局、学校保健課、WFPが出席しました。
調理員が料理をしている間、FIDRスタッフは学校長に向けて、フードピラミッドが描かれたポスターなどの教材を使い食生活指針を紹介しました。この指針が健康的な食習慣とライフスタイルづくりに役立つことを説明するとともに、自校の教師や子どもたちに広めていくよう働きかけました。
「カンボジア政府、国連機関とNGOが一緒になって、食生活指針を子どもたちに広める機会をもつことは、とても重要で意義のあることです」と、学校保健課課長のキムソティアヴィ氏は評価していました。
校長先生たちは、学校に戻ると早速、教室の壁に教材のポスターを掲示しました。
ある学校では、数名の子どもたちがポスターを囲み、フードピラミッドに描かれている食べ物についておしゃべりをしていました。ポスターには、「毎日、全ての種類の食べ物をバランスよく食べましょう」、「小魚や牛乳、乳製品など、カルシウムが豊富な食品を食べましょう」、「多くの果物と野菜を規則正しく食べましょう」などのメッセージが書いてあります。
ポスターは、「とても、おもしろい」と子どもたちに好評で、食事に関するメッセージもきちんと伝わっていました。
世界で100か国以上がそれぞれの食の文化や一般に用いられる食材に基づいて「食生活指針(食事バランスガイド)」を設定しています。各国の食生活指針はFAO(国連食糧農業機関)のウエブサイトに一覧で掲載されています。
カンボジアは食生活指針が長く不備の状態でしたが、保健省の要請のもと当事業により昨年ようやく完成し、保健省の認定を受けることができました。このたび、その「カンボジアの学齢期の子どもたちのための食生活指針」がFAOのサイトに掲載され、リストにカンボジアの国旗が追加されました。これは、この指針が調査と解析という科学的根拠に基づき、国際的に定められたガイドラインに沿って作成されたものとして認められたことを意味します。
食生活指針の策定はカンボジアにとって初めてのことで、まだまだパーフェクトなものとは言えませんが、カンボジアが栄養改善の分野において一歩前進したことは確かです。これを機にFIDRは保健省や教育省、また他の関係機関と積極的に協働ネットワークを広げ、子どもの栄養改善という大きなテーマに取り組んでいきます。
国際連合食糧農業機構(FAO)のカンボジアページ
4月より、昨年カンボジア保健省から認定を受けた学齢期の子どもたちのための「食生活指針」を、実際に全国の学校やコミュニティに広めていく活動を開始します。
「食生活指針」の普及活動において、重要になってくるのは教材です。すでに、ポスター、リーフレットや冊子は、FIDRスタッフをはじめ、専門家や有識者の方々と何度も議論を重ねて完成しましたが、今度はこれらを使って子どもたちを指導する学校の先生や地域の保健センター職員、保護者などを対象にした指導用教材(指導マニュアルのようなもの)の開発に取り組んでいます。
現在カンボジアには栄養士がいないばかりか、学校で栄養について学ぶ機会は皆無に等しいです。そのため、この「食生活指針」は子どもたちだけでなく学校の先生にとっても初めて触れる内容となります。指導用教材には指針の内容のみならず、基本的な栄養の知識や指導にも役立つようなトピックも含まれるように作成を進めています。FIDRのカンボジア人スタッフにとっても初めて知るようなことが含まれているので、皆で学びながらの作業です。
教材に掲載する視覚情報もとても重要であるため、どのような写真が必要なのかもスタッフで話し合いました。普段カンボジアの学校で使用されている教科書にはあまり写真が含まれておらず、白黒の挿絵がある程度です。子どもたちに一層興味を持ってもらう教科書にするためにも、これまで作成したリーフレットや冊子には、できるだけたくさんの写真や色を使うことを意識してきました。今度の教材は主に大人に向けてのものですが、なるべく内容を分かりやすくするため、積極的に写真も取り入れていきたいと思っています。
また、ポスター、リーフレットや冊子の時と同じように、使用する写真はプロの方に撮影をお願いしています。特に食材や料理の写真を多く撮影してもらうため、今回も念入りに事前準備と打ち合わせを行った上で撮影に挑みました。以前の反省点が活かされたのか、今回はスタッフも要領を得ていて、手際よくスムーズに撮影が終わりました。
これからも、ますます皆で協力し合いチーム一丸となって、教材作成の作業を続けていきたいと思います。
3年余りに及び、FIDRとカンボジアの関連省庁、国際機関やNGOが一緒になって協議して開発に取り組んできた、カンボジアにおいて初めてとなる学齢期の子どもたちのための食生活指針(カンボジア版「食事バランスガイド」)がついに完成しました。この食生活指針はカンボジア保健省で正式に認定され、子どもたちの栄養摂取のための新しいガイドラインとなりました。ここに至るまでには、本当に様々な課題やクリアしなければいけない問題があり、頭を抱える日々もたくさんありましたが、無事に完成発表セミナーを開催できたことは、FIDRスタッフにとっても非常に嬉しく、誇りに思う出来事でした。
セミナー当日(11月20日)は、カンボジア保健省や教育省をはじめ、地方からも関係者が駆けつけてくださり、多くの方々に完成のご報告をすることができました。また、これまで技術的なサポートをしてくださっていた青森県立保健大学の吉池信男教授と草間かおる准教授にもお越しいただき、日本での食生活指針の実践事例や活用方法に関してお話いただきました。カンボジアの人々(特に地方の方)にとって、日本の大学教授からお話を聞く機会はとても珍しく、熱心にお話を聞いていた様子が印象的でした。
それ以外に、食生活指針の教材作成において資金的にご支援いただいた、京都モーニングロータリークラブのメンバーの方々にもご参加いただきました。FIDRが取り組んでいるプロジェクトの現場を実際に見ていただくことで、より活動の内容等をご理解いただくことができ、現地のスタッフやカンボジアの人々との距離も一層縮まったのではないかと思います。我々スタッフにとっても、様々な人々によって支えられていることを改めて実感する機会となり、感謝の気持ちが一層強くなりました。
また、このセミナーの様子は、カンボジアのテレビ局に全国版ニュースとして取り上げられました。これをきっかけに、カンボジアの多くの人々に関心を持ってもらえたら嬉しい限りです。
今回開発した食生活指針(カンボジア版「食事バランスガイド」)は、完成したから終了するわけではなく、これらを普及させていくという最も大切なプロセスが待っています。
今後、カンボジアの小学校で「保健」が正式な教科となる予定であり、日本の保健や家庭科の教科書に「食事バランスガイド」が掲載されているように、この食生活指針もカンボジアの教科書に掲載されることになっていくことと思います。しかしながら、現在のカンボジアには、その教科を教えられる栄養教諭や栄養士がいないため、栄養教育や食育の取り組みはまだ行われていません。
そのため当面はカンボジアの学校で栄養教育を進めるにあたり、教諭に向けた研修やトレーニングも行っていくことが必要とされており、FIDRはそれらのサポートを行っていく予定です。
これまで「カンボジア給食支援プロジェクト」でご報告していた学齢期の子どもたちのための食生活指針(カンボジア版「食事バランスガイド」)の開発とその普及は、これまでのプロジェクトから独立し、2017年4月から「栄養教育普及プロジェクト」として取り組むことになりました。
フードベースの食生活指針(英語名Food-Based Dietary Guidelines =FBDG)は、健康的な食生活を送るための誰でもわかりやすいシンプルなスローガンと、何をどのくらい食べたらよいのかを示すフードピラミッドなどで構成されています。1992年に国連機関のWHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)の共催で開かれた国際栄養会議において採択された『世界栄養宣言とその行動計画』には、“各国政府はそれぞれの自国民のために適切な食生活と生活習慣を促進する食事指針を定めるべきである”と書かれており、各国の食事指針が紹介されているFAOの公式ウェブサイトでも、アジア太平洋地域に加盟している29か国のうち、先進国を中心とした17か国で定められていることがわかります。
しかし、その中にカンボジアの名前はありません。栄養士という職業がなく養成機関もないカンボジアでは、科学的根拠のもとに食習慣や栄養上の課題を引き出し、その上に検証を繰り返して策定しなければならない食生活指針は、それだけの専門技術、労力、時間、そして資金が必要であるため、ずっと後回しにされてきました。
FIDRは、2008年からカンボジア国立小児病院での病院給食と栄養管理システム導入および人材育成に力を注ぎ、同国の保健省とも良好な関係を築いてきました。その信頼もあり、2013年に保健省から食生活指針の策定に力を貸してほしいとの要請を受けました。
食生活指針をつくるには、その国で定められた、一日にどのくらいの栄養素を取るべきかを示す「推奨栄養所要量」(食事摂取基準)が必要です。同国ではそれすら存在していなかったため、まずは「推奨栄養所要量」を策定するため、対象人口の食事摂取状況と栄養状態のリサーチからはじめ、2014年より全国調査を実施しました。
カンボジアとしてだけでなく、FIDRとしても全てが初の試みであるため、一つ一つ日本人専門家のアドバイスを受けながら着実に進めてきました。(参考:過去の記事)その他にもカンボジア版「食事バランスガイド」を普及させるため、できるだけわかりやすいポスターやパンフレットの教材を作り、都市部や農村部の小中学生対象にパイロット調査を行った他、ワーキンググループメンバーや他団体の有識者などの意見もうかがいながら、何度も手直しを繰り返しました。
食生活指針の策定に関わる皆が「よし、これでいこう!」と合意に至るまで本当に大変な道のりでしたが、プロジェクト開始から3年の道のりを経て、保健省に提出するまであと一歩というところに来ています。
「あともう一歩、がんばろう!」
プロジェクトチームのメンバーたちと励まし合いながら取り組んでいます。