FIDRは、ベトナムのソンラ省の各郡農業局やタイバック大学と協働で、コーヒー生産農家の生活水準の向上を目指して、技術指導や研修を実施しています。
これは、イオン株式会社がサプライチェーン企業やNGOと共同で実施する「サステナブルコーヒープロジェクト」の一環です。
2月13日、日本とベトナムをオンラインで結んで、「イオン サステナブルコーヒーサミット」が開催されました。これは、サステナブルコーヒープロジェクトの概要や進捗、ベトナムや日本での取り組みについて、生産・流通・販売に携わっているすべてのステークホルダー間で共有することを目的とするもので、関係者50名余りが参加しました。
コーヒーの生産・流通・販売に携わっているイオン株式会社およびサプライチェーン関連各社からは、ベトナムでの取り組みや日本でのコーヒー販売状況などが発表・共有されました。
FIDRからは、ソンラ省における住民の生活の様子や、プロジェクトで行っている農業技術指導などについて発表・共有しました。また、次のような農家の声を紹介しました。
「プロジェクトの一環で、近所の農家が集まったの。今まで付き合いがなかったご近所さんと情報交換をはじめたよ。コーヒー栽培を20年以上やってるけど、本当に生活が変わったよ」
「コーヒーからの収入で、タイ族(ソンラ省の人口の多くを占める少数民族)のスタイルの家を建てることができたよ。子どもの教育費も出せたし、生活が安定してきているよ」
サミットにはソンラ省のコーヒー生産者の方も参加していました。生産者のバーさんは「私たちをご支援頂きありがとうございます。本日、素晴らしいコーヒーを収穫できたことを報告できて光栄です。これからもソンラのコーヒーをお楽しみ下さい」とお礼の言葉を述べました。
サミットは、イオン株式会社執行役商品担当兼イオントップバリュ株式会社代表取締役社長、土谷美津子氏による「いろいろな人の協力をうけて頑張っている生産者の声を聞くことができて嬉しいです。関係者全員がwin-winとなるよう益々大きく地道な取り組みとしていきたいと思います」という総評で締め括られました。

コーヒー生産者・バーさん(右)

FIDRベトナム事務所・大槻所長の発表の様子
ソンラ省のサステナブルコーヒーは、お近くのミニストップ・イオンリテール・イオンカフェランテで味わっていただけます。ぜひお試しください!
・ミニストップ:https://www.ministop.co.jp/syohin/coffee/sustainable_coffee.html
・イオンカフェランテ:https://caferrant.jp/
FIDRは、ベトナムのソンラ省で、コーヒー農家の生活改善や収入向上に取り組んでいます。
今回は「4C認証」についての農業技術研修をご紹介します。
コーヒーには様々な認証システムがあり、「4C認証」は、コーヒーの持続可能な栽培と加工のための最大の認証システムの一つです。コーヒーサプライチェーン、つまり生産から販売までの一連の過程を一定の基準で持続させるため、独立した第三者(ドイツに拠点をもつ4C Services GmbH)が監査、評価します。「4C」は、”Common Code for the Coffee Community” の4つの頭文字「C」に由来します。
認証の取得者は中間買取業者ですが、評価の対象は一連のコーヒー生産過程であるため、買取業者も農家も、それぞれが基準を満たすため取り組む必要があります。
4C認証では、次のような側面が評価されます。まず、コーヒー栽培が自然環境や生物保護に影響を与えていないかなどの「環境的側面」。次に、生産地で児童労働が強制されていないかなどの「社会的側面」。さらに、買取業者が生産者の収益を考慮した適正な価格で取引しているかなどの「経済的側面」です。
コーヒー豆の買取価格は価格変動の激しい国際市場で決められますが、プロジェクト対象地域の多くの農家は、市場への直接販売手段を持ちません。そのため、中間買取業者によって安価での取引を余儀なくされる農家もいます。また、農家の中には、収入を向上させたいと森林を開墾して農地化する人々もおり、自然環境の破壊につながる可能性があります。
「4C認証」を得た中間業者に買い取ってもらえれば、農家は適正な価格でコーヒー豆を販売できます。また、農家自身もよりサスティナブルな生産方法を実践する必要があるため、「4C認証」が広まることで、環境破壊の解決や防止が期待されます。
今回の「4C認証」研修では、FIDRが作成した教材「私たちは4C 農家!」を、参加した農家全員が読み上げ、認証制度について学びました。また、自分たちの気づきや実践状況を共有しました。この教材では、4C認証の特徴や規定、注意事項を簡潔な言葉でわかりやすく説明し、写真やイラストを入れるなど、読み書きが苦手でも理解できるように工夫しています。
「4C 認証は知っているが、詳細ルールが多いため、実践が難しい」
と農家の方たちは悩んでいましたが、
「とても難しい内容ですが、楽しい共有の場のおかげで、4C 認証への理解が前より深まりました。家族やご近所さんにもぜひシェアしていきたい」
という声が上がりました。
参考資料:https://www.4c-services.org/wp-content/uploads/2021/06/210126-4C-Flyer_JA.pdf
コーヒー農家は、年1回(10〜12月頃)のコーヒー豆の収穫を終えたあと、来シーズンに向けて木の手入れなど農園の「メンテナンス」をはじめます。当プロジェクトでは、このコーヒー栽培のサイクルにあわせて、さまざまな農業技術研修を行っています。
その一つが、コンポスト(堆肥)の活用についての研修です。
この地域のコーヒー農家の悩みの一つが、農園で必要な肥料や農薬にかかる出費が大きいということ。それが生活を圧迫する一因にもなっています。
コンポストは、自宅で調達できる有機性廃棄物を用いて手軽に費用をかけずにできるため、環境にやさしく、経済的負担にもなりません。
コンポストとして活用できるものには、例えば家庭で出る生ごみや家畜の排泄物だけでなく、コーヒー栽培の過程で出るけれど捨ててしまっているコーヒーチェリーの殻などもあります。それらを土と混ぜ、発酵・完熟するまで置いておくだけでコンポストが出来上がります。
FIDRとパートナーであるタイバック大学が行った農業研修では、コンポストを活用した土づくりの方法を紹介し、農園でそれを実践しました。
研修開始時は「コンポストを作るのは時間と費用も掛かると思っていたので、やってみようという気持ちはなかった」と言っていた農家の方々でしたが、研修後は次のような声があがっています。
「コンポストには、自宅や家畜飼育から出る廃棄物をリサイクル活用できるので、とてもいいことですね。これをまだ知らないご近所さんもいます。稲刈りが済んだ後の籾殻を捨ててしまっているのでもったいないです。このコンポストの技術をぜひ周りの人たちにも教えてあげたいです」
「コンポストをぜひコーヒーの木の栽培や家庭菜園にも使いたいです」
「コーヒーチェリーの殻を活用したコンポストは栄養成分が多く、良い肥やしになると聞いたので、コーヒーの畑だけでなく、他の果実の畑にも使ってみたいです」
研修後は、さっそくコンポストづくりを始める農家がたくさん出てきています。
ベトナムの「ソンラ省コーヒー産地におけるコミュニティー開発プロジェクト」の開始に向けて、9月10日にキックオフワークショップが開催されました。
当日は、日本からイオン株式会社及びサプライチェーンの関連企業の代表者、ベトナムから協力機関であるタイバック大学の学長及びプロジェクト担当者、現地の行政局、農家代表及びメディア関係者等の約70名以上がオンラインで参加し、プロジェクトの目標や活動を関係者で共有・確認し、今後事業を展開する際の協力関係を促進しました。
FIDRは、長年にわたりベトナム中部で実践してきた農村開発と生活改善の経験を活かし、関係者との協働のもと、コーヒー生産農家一人ひとりの生活がより良いものになるよう、活動を行っていきます。
FIDRはべトナム北西部のソンラ省で、イオン株式会社が持続可能なコーヒーの調達のために実施している「サステナブル・コーヒー・プロジェクト」に参画しています。
プロジェクトの開始に向けて、FIDRスタッフは初めてソンラ省を訪問し、人々の生活や伝統文化、主要な生計手段である農業、そしてコーヒーの生産や流通などの状況ついて幅広い調査を行いました。
ソンラ省は、ベトナムで最も貧しい省の一つで、首都ハノイから北西に7時間程の距離に位置しています。高原から山岳地に向かう道中で、山々の美しい景観や、杏、梅、マンゴー、リュウガン、そして丘を覆うように栽培されているコーヒーなど多様な農産物が人々を魅了します。この地域では、高地でしか育たず、香りが良くて味わい深い、アラビカ種のカティモールコーヒーも栽培されています。
ソンラ省では、1994年から本格的に政府の補助金によってコーヒー栽培が始まって以来、コーヒー栽培農家の数、栽培面積ともに急激に増加しています。現在、コーヒーの主要産地であるソンラ市、マイソン郡、トゥアンチャウ郡では、ほとんどの住民が自分のコーヒー農園を持っています。
今回の調査で、住民にコーヒーの栽培状況や生活、コミュニティなどについて聞いたところ、家庭の不安定な収入、コーヒーの不安定な価格、異常気象の影響、肥料や農薬の高い費用の投入等の課題を抱えていることが分かりました。彼らは今後、技術や課題をお互いに共有できる場を設け、一緒に状況を改善していきたいと考えています。彼らのユニークな伝統文化を守りつつも、家庭の生活改善や低投入型農業の推進等、人々の生活安定や地域経済の発展に寄与できるよう、FIDRはイオン株式会社と現地の関係者とともに活動を進めていきます。
FIDRは、ベトナム北西部に位置するソンラ省においてイオン株式会社が実施する「サステナブル・コーヒー・プロジェクト」に参画することになりました。
ソンラ省はベトナムの首都ハノイから北西に約320キロに位置しています。ベトナムのコーヒー生産量は世界2位であり、同省はその主要産地のひとつですが、多くの少数民族が暮らす貧困地域としても知られています。
イオン株式会社は、自然資源の持続可能性と事業活動の継続的な発展との両立を目指した取り組みを実施しています。そのひとつとして、プライベートブランドで販売するすべてのコーヒーを、環境のみならず、生産者にもやさしいものに変換するという目標を打ち出し、当プロジェクトを開始しました。
FIDRは、長年、ベトナム中部地域の少数民族に対する地域開発支援を行ってきた経験を活かし、同社のパートナーとして、コーヒー生産者への農業技術支援をはじめ、生産地に暮らす住民の生活向上の支援に取り組んでまいります。
プロジェクトに関するイオン株式会社のウェブサイトは下記のリンクからご覧ください。
https://www.aeon.info/sustainability/coffee/